適用開始(2022年1月)まで1ヶ月!「電子帳簿保存法」改正!
いよいよ、「電子帳簿保存法の改正」に関し、適用開始まであと1ヶ月となりました。
これは、2020年12月に閣議決定された「令和3年度税制改正大綱」にて、抜本的な見直しが盛り込
まれた改正であり、企業でのさらなる利用促進が期待されているものです。
今回は、適用開始直前の「電子帳簿保存法の改正」について、再確認しましょう!
目次[非表示]
- 1.「電子帳簿保存法」とは
- 2.改正の4つのポイント
- 2.1.1.事前承認の廃止
- 2.2.2.タイムスタンプ要件の緩和
- 2.3.3.適正事務処理要件の廃止
- 2.4.4.検索要件の緩和
- 3.「電子帳簿保存法」のメリット
- 3.1.1.業務効率化
- 3.2.2.紛失や滅失リスク軽減
- 3.3.3.保管コスト・輸送コスト削減
- 4.まとめ
「電子帳簿保存法」とは
「電子帳簿保存法」(1998年制定)とは、納税者の国税関係帳簿書類の保存に係る負担軽減等を
図るために、その電磁的記録等による保存等を容認するものです。
具体的には、書類は、一定の要件の下で、プリントアウトせずに作成した電子データのまま保存
できます。
また、一定の要件の下で、紙のままではなく、スキャナで読み取った電子データ形式にて保存でき
ます。
改正の4つのポイント
改正のポイントは以下4つが挙げられます。
1 |
事前承認の廃止 |
2 |
タイムスタンプ要件の緩和 |
3 |
適正事務処理要件の廃止 |
4 |
検索要件の緩和 |
1.事前承認の廃止
従来は、電子保存を開始するには、税務署での事前承認が必要であり、承認されるまでの労力や
時間が電子保存を導入する高いハードルとなっていましたが、今回、事前承認が廃止されました。
2.タイムスタンプ要件の緩和
従来は、タイムスタンプの付与を、受領後3日以内に行う必要がありましたが、最長2ヶ月以内に
延長されました。また、スキャナ読み取り時の受領者の自署も不要となります。
さらに一定の要件を満たすシステムに保存する場合は、タイムスタンプ自体が不要となります。
*タイムスタンプとは、電子データが「いつ」の時点で存在し、それ以降改ざんされずに証拠性を保っている事を第三者的に証明するもの
3.適正事務処理要件の廃止
従来は、内部統制の観点から、「定期検査」と「相互けん制」の適正事務処理要件対応が求めら
れていましたが、今回、この要件が廃止されました。
変更前 |
変更後 |
|
定期検査 |
原本とデータの突合を行うために、 定期検査まで紙原本の破棄は不可 |
スキャン後には紙原本の廃棄が可能 |
相互けん制 |
相互けん制のため、2名以上での
事務処理対応
|
1名での事務処理が可能 |
4.検索要件の緩和
従来は、電子データを保存する際には、検索機能の確保が求められており、検索項目が複雑な
ために、そのハードルが高くなっていた点が課題でした。今回、検索項目が大幅に緩和されまし
た(取引等年月日、取引金額、取引先のみ)。
「電子帳簿保存法」のメリット
この「電子帳簿保存法」のメリットとしては、大きく3点が挙げられます。
1 |
業務効率化 |
2 |
紛失や滅失リスク軽減 |
3 |
保管コスト・輸送コスト削減 |
1.業務効率化
紙の書類であれば、書類の郵送などの時間が発生しますが、電子データのやり取りであれば、一瞬
で済みますので、時間削減につながります。また、確認や押印のための出社が必要なくなります。
さらに、電子データで保管されているため、検索も容易となり、検索時間が削減できます。
2.紛失や滅失リスク軽減
紙の領収書・請求書を回覧する必要がないので、回付中に紛失するリスクや災害などの際に消失す
るリスクを軽減できます。
3.保管コスト・輸送コスト削減
紙の領収書・請求書を保管する場所は不要となりますので、倉庫などに保管していた場合の、保管
コストや輸送コストなどを削減できます。
まとめ
上記のメリットを享受するためには、ある程度のシステム投資が必要となりますが、これまで
労力と時間のかかった事前承認が撤廃されるなど、デジタル活用促進を目指し、大幅な要件の見直
しがなされています。
せっかくの機会ですので、改正要件を確認し、具体的検討を始められるのはいかがでしょうか。