2021年(令和3年)における主な労務関連の改正法をふり返る
2021年(令和3年)は、働き方の変化の影響もあり、労務に関する改正法が多く施行された年でも
あります。そこで、既に対応されている企業も多いかと思いますが、改めて、主な労務関連の改正
法をふり返ります。
目次[非表示]
- 1.2021年(令和3年)における主な労務関連の改正法
- 2.改正の概要
- 2.1.育児介護休業法
- 2.2.障害者雇用促進法
- 2.3.労働政策総合推進法
- 2.4.高齢者雇用安定法
- 2.5.パートタイム有期雇用労働者法
- 3.まとめ
2021年(令和3年)における主な労務関連の改正法
2021年(令和3年)に施行された改正法は、主に次の通りです。
法律名 |
施行月日 |
育児介護休業法 |
1月1日 |
障害者雇用促進法 |
3月1日 |
労働政策総合推進法 |
4月1日 |
高齢者雇用安定法 |
4月1日 |
パートタイム有期雇用労働者法 |
4月1日 |
改正の概要
育児介護休業法
対象:全ての企業
育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得できるようになりました。
これまでは、一日の所定労働時間4時間以下の労働者の場合、半日単位での取得はできませんでし
たが、基本的には全ての労働者が取得できるようになりました。
障害者雇用促進法
対象:常時雇用する労働者数が43.5人以上の企業
障害者の法定雇用率が引き上げられ(民間企業においては2.2%から2.3%)、これまで、常時雇
用する労働者数が45.5人以上の企業でなければ、障害者雇用の必要はありませんでしたが、43.5人
以上の企業も雇用する必要があります。
労働政策総合推進法
対象:常時雇用する労働者数が301人以上の企業
常時雇用する労働者数が301人以上の企業は、直近3事業年度分の中途採用比率を、HP等、求職者
が簡単に確認できる方法で公表する必要があります。
高齢者雇用安定法
対象:全ての企業
企業は次の①~⑤いずれかの措置を講じるように努める必要があり、70歳までの就業機会確保が
努力義務として定められました。
① |
70歳までの定年引き上げ |
② |
定年制の廃止 |
③ |
70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 |
④ |
70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 |
⑤ |
70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入 ・企業が自ら実施する社会貢献事業 ・企業が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業 |
パートタイム有期雇用労働者法
対象:中小企業 ※大企業は2020年(令和2年4月)から適用済み
中小企業にも「同一労働・同一賃金」のルールが適用されます。
「同一労働・同一賃金」には「均等待遇」と「均衡待遇」という考え方があります。
■均等待遇:業務内容が同じであれば、同じ待遇にしなければならない。
■均衡待遇:業務内容が異なるのであれば、その違いに応じた待遇差にしなければならない。
ポイントは次の3点となります。
1 |
正社員とパート・アルバイトとの不合理な待遇差の禁止 |
2 |
労働者に対する待遇に関する説明義務 |
3 |
行政による企業への助言、指導等や裁判外紛争解決手続の整備 |
まとめ
従業員を雇用している企業にとって、労務関係法令を守ることは義務であると同時に、従業員が
働きやすい環境の創出にもなり、それが企業の魅力度向上にもつながります。これを機会に、改正
内容を見直してはいかがでしょうか。