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社用車の事故で生じるリスク(責任)とは?リスク管理の方法(リスクマネジメント)も解説

従業員が社用車を使用中に事故を起こしてしまったら、どのようなリスク(責任)が従業員本人や

会社に生じるかご存じでしょうか。社用車で事故を起こした場合には、「被害者に対して従業員本

人と会社が連帯して弁償する」ケースが多いと言えます。

今回は、社用車の事故で生じるリスク(責任)と、そのリスクを管理する方法(リスクマネジ

メント)について紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.社用車で事故を起こしてしまったらどうすれば良い? 
  2. 2.社用車の事故によって生じるリスク(責任)とは? 
  3. 3.使用者責任(民法第715条)
  4. 4.運行供用者責任(自賠責法第3条)
  5. 5.災害補償責任(労働基準法)
  6. 6.社用車の修理費用は、会社と従業員どちらが負担する? 
  7. 7.社用車の事故リスクを管理するには? (リスクマネジメント)
  8. 8.まとめ


社用車で事故を起こしてしまったらどうすれば良い? 

まず、社用車に限った話ではありませんが、交通事故を起こしてしまったときの対応は、道路交通

法第72条に「交通事故の場合の措置」として定められています。


1
運転者等(同乗者を含む)はすぐに運転を停止
2
負傷者を救護(救護義務)
3
道路における危険を防止
4
警察に報告
■報告内容
 日時 場所 死傷者数 負傷程度 損壊物 損害の程度 積載物 講じた措置


社用車の事故によって生じるリスク(責任)とは? 

従業員が、社用車を使用中に事故を起こしてしまった場合に生じるリスク(責任)には、刑事責任

や行政責任もありますが、ここでは民事上の責任(損害賠償)について述べていきます。 

そもそも損害賠償とは、第三者にけがをさせてしまったときなどに損害を賠償する責任負う(民

法第709条)ことです。つまり弁償を意味しており、不法行為責任と呼ばれています。

弁償とは、具体的に以下のような損害を弁償する責任(義務)です。なお、休業損害や逸失利益は

「消極損害」と呼ばれることもあります。


積極損害
治療関係費や文書料など
休業損害
有給休暇の取得や休業による収入の減少など
逸失利益
将来得られたであろう収入の減少など
精神的損害(慰謝料)
傷病、後遺障害、死亡により受けた精神的苦痛など


ここまでは、運転していた当事者が負う不法行為責任(損害賠償)を紹介しましたが、社用車の事

故の場合は、会社も同様の責任を負うこともあるため、会社側負う責任について、以降で詳細を

解説します。

使用者責任(民法第715条)

業務中に社用車で事故にあったとき、運転者であった従業員の不法行為責任はもちろん、会社(使

用者)も連帯して弁償責任を負います。これが民法第715条に規定されている使用者責任です。

連帯責任ですから、被害者から会社に損害賠償を請求されたとしても、先に「従業員に請求してく

れ」と言うことはできません。

なお、業務外で従業員が社用車を利用していたときの事故でも、客観的に見て会社の業務として

使用と見えるような社用車事故場合、使用者責任が認められる可能性があります。

運行供用者責任(自賠責法第3条)

会社が負う責任は民法上の使用者責任だけではなく、自賠責法(自動車損害賠償保障法)の規定に

よる運行供用者責任もあります。


原則       

自己のために自動車を運行の用に供する者(法人)は、

その運行により他人の生命または身体を害したとき、

損害賠償責任を負う

例外(免責用件)                      

①会社と運転者が注意を怠らなかった

②被害者又は運転手以外の第三者の故意や過失があった

③自動車構造上の欠陥がなかった

この3点を立証した時


おおよそ使用者責任と同じですが、民法上の使用者責任とは以下の点が異なります。


運行供用者責任は、使用者に限らず運行供用者に責任が生じること
運行供用者責任は、事業の執行により生じた損害に限らないこと
運行供用者責任は、被害者側が加害者側の故意や過失を立証する必要がないこと


自賠責法は被害者救済制度ですから、使用者責任と比較すると広く責任を認めており、被害者側の

立証責任も軽めです。つまり、社用車を業務中以外に利用している際の事故の場合においても、原

則として運行供用者責任は生じます。

被害者は使用者責任より運行供用者責任を追求するほうが容易であるため、多くの場合で会社は運

行供用者責任を追求されます。


災害補償責任(労働基準法)

これまで、主に従業員が加害者となる場合の責任について紹介しましたが、従業員が社用車による

事故で被害を受けた場合も、会社が従業員に生じた損害を補償する責任を負います。

なぜなら、「業務上」の傷病等に対して、会社が必要な療養や休業などについて補償する責任が規

定されているからです(労働基準法第8章)。

もっとも、社用車での事故は、業務遂行性・業務起因性が認められる場合には、業務災害として労

災保険の給付対象となります。この場合でも事業主は労災保険料を負担しているため、間接的に被

害従業員への補償責任を負っているといえます。

なお、被害者である従業員は労災保険への給付請求権と第三者への損害賠償請求権を有するため、

労災保険と第三者間で支給調整が実施されます。


社用車の修理費用は、会社と従業員どちらが負担する? 

これまで、社用車の交通事故における人損にかかる責任を紹介してきましたが、修理費用などの物

損においてはどうなるでしょうか。

社用車の修理費用については、確かに従業員が会社(法人)の財産に損害を与えると弁償する責任

が生じます。しかし一方で、会社は従業員の労力によって利益を得ているため、会社から従業員に

無制限で弁償させることは難しいです。

そのため、社用車の修理費用については「損害の公平な分担」との見方で従業員に対し損害賠償を

請求することになります。

実際、裁判例では「諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認めら

れる限度において、労働者に対し損害の賠償を請求できると解するべき」と判示されています。

なお、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)により、雇用契約や就業規則(社内規定)などで損害

賠償を予定することはできません。


社用車の事故リスクを管理するには? (リスクマネジメント)


従業員が、社用車を使用中に事故を起こした場合には、たとえ形式上は業務外であったとしても、

会社が連帯して損害賠償責任を負うことが多い傾向です。

また、会社が第三者に弁償をした後に従業員に対して求償権を行使することも可能ですが、やはり

使用者という立場上、ある程度制限されます。

そのため、会社経営においては社用車の事故リスクを管理し、万が一事故が起こった際にも対応で

きる準備をしておくことが重要です。

そこで、社用車の事故リスクを管理する方法(リスクマネジメント)を紹介します。

リスクマネジメントには4つのステップがあります。

リスクを把握する → リスクを分析する → リスクを評価する → リスクに対応する

このステップで最も重要な「リスクに対応する」手法としては、「リスクコントロール」と「リス

クファイナンシング」があります。「リスクコントロール」は事故の発生頻度と大きさを削減する

方法であり、「リスクファイナンシング」とは、損失(損害賠償責任)に対して金銭的な手当をす

る方法です。

社用車による交通事故の「リスクコントロール」の代表的な例としては、以下が挙げられます。


心理テストや危険予知テスト、技能・知識テスト等を用いて、自身の運転に対する自己理解を深め、危険運転の予防を図る。
ドライブレコーダーから取得したヒヤリハット動画を用いて、安全運転の啓蒙につながる研修を実施する。


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車両管理や従業員教育を実施したとしても、完全に社用車による交通事故を防止できるとは限りま

せん。そこで、次に考えることは「リスクファイナンシング」です。

社用車による交通事故の「リスクファイナンシング」の代表的な例としては、「自動車保険」が挙

げられます。

まとめ

従業員が社用車を使用中に事故を起こしてしまったら、被害者に対して会社にも損害を賠償する責

任が生じます。具体的には、民法の規定による使用者責任、自賠責法の規定による運行供用者責任

と呼ばれるものです。

また、仮に従業員が無断で社用車を私的に使った(私用)場合でも責任を問われるケースが少なく

ありません。そのため、社用車による事故の発生を抑えたり、発生したときのために備えておく

などのリスクマネジメントが必要です。

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いますので、ぜひ一度、ご覧ください。


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